福岡県那珂川市に位置する食パン専門店。新幹線の車庫が近く、高架下沿いにあるこの店舗は小さな庇をそっと持ち出してその場所に佇んでいます。まるで焼き菓子のような加工の木のドアを大きく開くと、焼きたての食パンの香りと大きなカウンターが出迎えてくれます。テイクアウト専門のため、店内ではカウンター越しにお客さまとの会話が飛び交い、ひとつひとつ丁寧に手加工された木材はついついその表面に触れたくなる質感で、お客さまも店主も思わず触ってしまう魅力ある表情に仕上がりました。飲食店を設計する上で「おいしそう」と感じる空気感はとても重要で、焼きたての食パンを想像させる素材感をもつカウンターと、庇から店内に導かれるように折り上げた天井は、そのまま食パンラックへと続き、厨房と売場をゆるやかに隔てています。そんな2つの軸をもつ構成は、店舗のロゴともリンクしており、空間性とグラフィックとの調和を意識的に実現したプロジェクトとなりました。(スタジオモブ)
「那珂川のベーカリー」
所在地:福岡県那珂川市
オープン:2020年2月22日
設計者名:スタジオモブ 中尾彰宏 齋藤慶和
床面積:売場|14.355m2・厨房|26.55m2
Photo:exp Atsushi shiotani
【内外装仕様データ】
床:既存コンクリートの上クリア塗装
厨房壁:既存壁の上EP
壁:PBt12.5下地特注塗装(REAL IRON/Hayme paint) 腰壁/PBt12.5下地特注塗装(INDUSTRIAL/Hayme paint)
天井:既存天井の上特注塗装(REAL IRON/Hayme paint)
カウンター:積層合板t15下地クリア塗装 天板、幕板/オーク材 スプーンカットt15(マルホン)
その他:特注ペンダント照明(ANON lighting & design)