スリランカの文化の中に日本のDNAを融合、昇華させる
マリンドライブは、スリランカ・コロンボの西側海沿いのエリア。亜熱帯の独特な気候で目の前にエメラルドグリーンの海が広がり、背後には都市としてのビル群が建ち並ぶ。そこに100m級の超高層ホテルを計画するにあたり、スリランカの文化や環境を尊敬・称賛しつつ、私達日本のDNAと知恵を取り入れてどう進化させたものづくりにできるのか、そこが最大のテーマであった。建築はシンプルな壁式ラーメン構造で、柱・梁のでない超高層の建築をつくり、最上階にはスリランカの空気感とサンセットを楽しめるように、インフィニティープールとジャクジー、半アウトドアのルーフトップバーを設けた。また共用部や客室の至るところに、チタニウムモルタル、木、スチール、レンガ、塗装を徹底的に反復して使い、廊下は半外部廊下で風が抜けるような風の流れをつくるなど、スリランカの土着的な切り口や手法を超高層ホテルという世界観の中に落とし込んでいった。(寶田 陵/ザ レンジデザイン)
「Granbell Hotel Colombo」
所在地:スリランカ民主社会主義共和国 コロンボ コルピティエ地区282/5
オープン:2022年4月27日
設計:建築基本設計、デザイン監修、内装設計 ザ レンジデザイン 寶田 陵 + 青組 松岡正生
建築実施設計、監理 安藤・間 渡慶次明(意匠) 阿部浩史(意匠) 坂本洋二(設備)
照明デザイン sola associates 川村和広
床面積:29,166㎡
客室数:297室
Photo:B.P.Vithanage
【内外装仕様データ】
床:客室/チタン含有モルタル研ぎ仕上げ 磁器質タイル貼り 共用部/カーペット敷き チーク無垢材フローリング貼り
壁:客室/モルタル下地表面保護剤塗布 AEP 磁器質タイル貼り 共用部/チタン含有モルタル研ぎ仕上げ ベニヤ下地チーク練り付け ルーフトップ/アンティークレンガ積み ブリックタイル貼り
天井:モルタル下地表面保護剤塗布 AEP 共用部/ルヌミデラ無垢材貼り チーク材ルーバー
その他:家具/チーク材 マホガニー材 アッシュ材
寶田 陵/ザ レンジデザイン
1971年、東京都墨田区生まれ。1993年、日本大学理工学部海洋建築工学科卒業。1993年、フジタ計画 設計部。1999年、LIV建築計画研究所。2000年、都市デザインシステム。2008年、鹿島建設 建築設計部。2009年、UDS 企画・デザイン事業部(2012〜2016年、同会社執行役員)。2016年、the range design設立。ホテル、旅館、共同住宅、商業施設、オフィス等、幅広い分野で建築設計及びインテリアデザインを手掛ける。近年ではプロジェクトにおける企画プロデュースやデザインディレクション、家具や照明器具などのプロダクトデザインにも活動の幅を広げ、新しいライフスタイルを生み出す建築・空間づくりにチャレンジしている。