土地の記憶から“新しさ”を生み出す
私たちが目指したのは「新しさ」をつくること。そして、その「新しさ」の中に「歴史」から抽出されたエレメントを散りばめること。その一つの例は、メインフィーチャーである木組みの構造体だ。これは、大阪がかつて「天下の台所」と呼ばれた時代、日本各地から様々なものや人が集まり、街には「蔵」が立ち並んでいた。その「蔵」を現代的に、インスタレーションとして変換した。また、この構造体は、様々な形状の「古木」を使い、伝統的な大工技術によって組み上げられている。「古木」や伝統技術を用いて、全く新しい存在でありながら、この土地が持つ記憶=ストーリーを体感させる装置として表現している。また、各空間においても同じフィロソフィーを持ってデザインした。それらはすなわち、古く、捨てられ、忘れられるようなものたちの中に新しい価値を見出していくこと。それこそが、私たちが取り組んだ「新しさ」の生み出し方だ。(NAO Taniyama & Associates)
「voco Osaka Central」
所在地:大阪市西区京町堀1-7-1
オープン:2023年5月30日
設計監理:錢高組一級建築士事務所 アパ アソシエイツ
インテリアデザイン:NAO Taniyama & Associates
床面積:約10,600㎡
客室数:191室
Photo:公文健太郎
【内外装仕様データ】
床:テラゾータイル貼り フローリング貼り アキスミンスター織カーペット敷き
壁:特注鉄風塗装 フレキシブルシート貼り 特注クロス貼り
天井:特注ティンシーリング 塗装仕上げ クロス貼り
その他:特注製作家具 木組み構造体
谷山直義/NAO Taniyama & Associates
1973年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、スーパーポテトで杉本貴志に師事。2011年、NAO Taniyama & Associatesを設立。グランドハイアット東京、レストランドミニクブシェなどのホテルやレストランなど幅広い空間デザインをデザイン。近年では2023年開業予定の日本初上陸のホテルVOCOなどを手掛けている。