ブランドを象徴し日本のものづくりの価値を発信する空間
私と「能作」とは、2000年に製品開発から関わりが始まり、世界で初めての錫100%の器を協働して開発をしました。その後、展示会の会場デザイン、直営店のショップデザイン、社屋の設計と、全ての空間デザインに20年以上関わり続けています。
この店舗は、真鍮と錫で生活道具を作り続ける製造工場を持つメーカー「能作」の国外初の直営店です。生活の道具を伝える場として、「ひとつ屋根の下」という暮らしを感じる空間をコンセプトに、能作が扱う真鍮と錫を適度に用いて、製品と空間が共鳴する穏やかで清らかな場をつくりました。ここでは中央の什器を現地のデザイナーであるPill Wu Designとのコラボレーションでデザインし、台湾のお客さんと空間との関係を取り持ってもらいました。この店舗は、台湾という新たな土地で、能作のアイデンティティを発信し、日本のものづくりが唯一無二の価値として伝わることを目指しています。(小泉 誠)
「能作 台湾」
所在地:台湾臺北市中山區樂群二路271號
オープン:2022年5月7日
設計:小泉誠+Koizumi Studio 平田真貴
什器デザイン:Pili Wu Design
家具:こいずみ道具 大柴いずみ
照明計画:スパンコール 村角千亜希 二ノ倉絵里
施工:EASE
床面積:137.4㎡
Photo:YUCHEN CHAO PHOTOGRAPHY
【内外装仕様データ】
床:石タイル(Caracter Blanco/MARAZZI) 外部/既存御影石
壁:PBt12.5下地AEP 真鍮板、錫タイル(能作) 栓材羽目板貼り
天井:PBt9.5下地AEP 真鍮板(能作) 栓材羽目板貼り 外部/ボンデ鋼板t1.2+・シート貼り(ダイノックフィルム/3M)
家具・什器:イス(D Chair/宮崎椅子製作所) 真鍮ドアハンドル(能作) 展示什器/シナ積層合板
小泉 誠
家具デザイナー。1960年東京生まれ。木工技術を習得した後、デザイナー原兆英と原成光に師事。1990年Koizumi Studio設立。2003年にデザインを伝える場として「こいずみ道具店」を開設。建築から箸置きまで生活に関わる全てのデザインを手がけ、現在は日本全国のものづくりの現場を駆け回り地域との恊働を続けている。2015年には「一般社団法人わざわ座」を立ち上げ、手仕事の復権を目指す活動を開始。武蔵野美術大学名誉教授。多摩美術大学客員教授。2012年毎日デザイン賞・2015年日本クラフト展大賞・2018年JIDデザインアワード大賞・IF DESIGN AWARD 2023など国内外の受賞多数。