三菱地所は、インドネシアに「半屋外型」アウトレットモール「The Grand Outlet – East Jakarta Karawang」を設計。今年7月17日にグランドオープンした。場所はジャカルタ中心部から高速道路で約1時間。日本各地で豊富なアウトレット設計実績を有する三菱地所と、在シンガポール子会社である三菱地所設計アジア社の東南アジア地域でのノウハウを融合し、プロジェクトの川上から施工後のサポートまで手がけた。
同施設では、約88,000㎡の広大な敷地に約150店舗が入り、「Shopping in Nature」をコンセプトに、熱帯気候地域でありながら快適な「半屋外型の商業空間」を実現。年間を通じて平均最高気温が30℃を超える東南アジア地域では、屋外型ショッピングモールは普及しづらく、完全屋内型とすることが一般的だが、そのような既往商業施設との差別化を図る観点から、屋外で快適に歩行しながらショッピングを楽しめる環境の提供を目指している。
本プロジェクトでは、東南アジア特有のほぼ垂直に差し込む強い日差しを、ガラス屋根でフィルタリングするエリアと完全屋外エリアに分け、それぞれに温熱環境シミュレーションを行い、環境改善を試みている。ガラスの大屋根が覆うエリア「Giant Canopy」では、光透過性の異なる3種類の素材(Low-Eガラス、Low-Eガラスとシルクプリント、アルミパネル)を用い、シミュレーションで導いた目標値を平均値で実現。更にコンピューテーショナルデザインによるシルクプリントのパターンが木漏れ日のような光と影を生み出し快適な歩行空間を作り出す。夜間には、Giant Canopyに仕込まれた間接照明が昼間とは異なる表情を演出。さらに、自然通風を補助するポール型ファンが歩行空間に快適な風を提供。大屋根の効果とあわせ、外部空間よりもマイナス10℃程度の体感温度になっている。
一方、空間設計の特徴は、一筆書きの動線で店舗へのアクセス性を均等にするとともに、その動線のノード(結節点)に地域性を取り入れたデザインとして、インドネシアの自然から着想を得た「Forest」「Bamboo」「Water」「Flower」「Rice Terrace」という5つのモチーフを展開。また、施設の中央に位置する「Green Hub」は、さまざまなイベントに対応できるフレキシブルな空間になっている。棚⽥をモチーフにした⽴体的な緑のつながりが、階段の昇降を豊かな空間体験へと昇華させ、上部階への集客力を向上させている。
「The Grand Outlet – East Jakarta Karawang」
所在地:インドネシア、カラワン
敷地面積:約88,000㎡
建築面積:約32,000㎡
延床面積:約50,000㎡
階数:地上2階
竣工:2023年12月
https://grandoutlets.com/