商品を際立たせる直線的造形と手仕事感じるマテリアル
東京・代々木八幡で人気のベーグル専門店「tecona bagel works」の姉妹店、「Tecona bagel 自由が丘」。シンボリックなメープルの木を携えた、心地良い自然光が差し込む施設内に位置する。様々な食感とバラエティ豊かなフレーバーのべーグルが並ぶ店内は、柔らかいベーグルを際立たせる、直線的で立体感のある空間構成としながら、温かみのあるベージュトーンのグラデーションをカラースキームとすることで優しい印象を加えた。ボリューミーでリズミカル、印象的なデザインの陳列棚と、出来立てのベーグルが並ぶ棚を通して見えるキッチンのライブ感、温もり感じるテラコッタ調タイル。ぎゅっと密度の高い空間と温かみのあるライティングが、ベーグルを美しく見せるとともに、沢山の種類の中から手に取り選ぶ楽しさをより促進させる事だろう。直線的なディテールを用いながらも、手仕事感じるマテリアルを取り入れることで柔らかな表情が生まれ、ベーグルに込められた想いが伝わる、まごころ感じる空間となった。人々に寄り添い、自由が丘の穏やかな時間に優しく溶け込むような場になることを願う。(長谷川裕也/FiG)
「Tecona bagel 自由が丘」
所在地:東京都目黒区自由が丘2-16-10 メイプルファーム
オープン:2024年4月19日
設計:FiG 長谷川裕也
床面積:45.5㎡(うち厨房19.6㎡)
Photo:adhoc 志摩大輔
【内外装仕様データ】
床:躯体床の上磁気質タイル貼(名古屋モザイク工業)
壁・天井:LGS組みPB下地塗壁仕上(ジョリパット/アイカ工業)
什器:木工下地薄塗り左官仕上げ(モールテックス/ビール・インターナショナル) ウレタン全ツヤ塗装
長谷川裕也/FiG
1994年、大阪府生まれ。京都造形芸術大学環境デザイン学科を卒業後、2015年より株式会社グラマラスに6年間在籍、2021年にFiG(フィグ)設立。インテリア・家具・プロダクトと多岐に渡るデザイン、ディレクションを手掛ける。表層だけに囚われない、本質的なデザインから導き出される遊び心とオリジナリティ、そこから生まれる豊かさをコンセプトとしている。