ENOWA YUFUIN

自然のマテリアルと体験を楽しむボタニカルリトリート

 

計画の敷地は、大分県由布市の温泉地の外れにある山の中腹に位置します。面積約1万3400坪、標高543mから585mという高低差のある敷地は、東に由布岳、南に湯布の街を一望できる風光明媚な立地条件でした。ここに、「ボタニカルリトリート」をグランドコンセプトとした宿泊施設を計画することになり、そのコンセプトを継承し自然そのものの贅沢さを味わう「プリミティブラグジュアリー」を空間テーマとして設定しました。
広い敷地にはレストラン棟、レストランの個室と9室の客室からなる集合棟、10室のヴィラ棟など宿泊施設としての機能を敷地の高低差に併せてそれぞれが調和するように分散して配置し、その内外にテーマに沿った樹木やハーブなどを取り入れた庭を配置し周辺環境と溶け合うボタニカルなランドスケープを形成しました。各客室は、自然素材である木の無垢材の力強さや、石の優雅な表情、土壁の持つ温かみといった自然素材本来の豊かさが互いに響きあう空間表現を目指すことで、プリミティブな豊かさを備えた非日常空間を実現しました。また、その空間には絵画性の強いアート作品を取り入れ共存の可能性を追求することで、テーマであるプリミティブラグジュアリーを一層強く感じれるよう計画しました。なかでも、本施設のメインとなるヴィラ棟は、客室に大開口の窓を設け由布岳や湯布の街を一望できるテラスを設けることで外部空間との一体化を図りつつ、敷地内の豊富な高温温泉水を利用し、自然冷温装置である湯雨竹(ゆめたけ)で適温に調整した100%かけ流しの天然温泉の露天風呂と温水プールを設けることで、圧倒的な自然空間を取り入れた優雅な空間を実現しました。
近年テクノロジーの進歩に伴い、多様な物事を間接経験として瞬時に大量に経験できるようになった現代だからこそ、人間本来の時間の流れと五感を味わうプリミティブな空間と経験が、ラグジュアリーとして感じれるのではないかと考えています。(クル

 

「ENOWA YUFUIN」
所在地:大分県由布市湯布院町川上544
オープン:2023年6月8日
設計:クル 水谷光宏 尾芝淳二 荒川志織
床面積:2662.10㎡
客室数:プレミアムスイート(165㎡)2室 スイート(108㎡)2室 フォレストヴィラ(108㎡)4室 ガーデンヴィラ(108㎡)2室 ルームス (78㎡)9室
Photo:福森公博

 

【内外装仕様データ】
〈外装〉
屋根:レストラン棟、ヴィラ棟/フッ素ガルバリウム鋼板葺き 集合棟/合成高分子系塩ビシート防水
外壁:レストラン棟/押出成形セメント板 耐火パネル(耐火イソバンドPro/日鉄鋼板) コンクリート打放し+高浸透型給水防止塗装 ヴィラ棟/セメントボード+超低汚染フッ素樹脂塗装 セメントボード塗装仕上げ(ジュラクペンアート/フジワラ化学) 集合棟/ALCパネル塗装仕上げ(ジュラクペンアート/フジワラ化学) 押出成形セメント板 建具(開口部)/アルミサッシ 鋼製建具 外構/自然色アスファルト塗装 石張り舗装 砂利敷き レンガタイル舗装
〈ヴィラ棟)
床:複合フローリング
壁:不燃ナラ突板 オイルウレタンクリア仕上げ
天井:超低汚染AEP塗装
〈レストラン棟〉
床:磁器質タイル貼り 複合フローリング ヘリンボーンウォールナット
壁:不燃ウォールナット突板オイルウレタンクリア仕上げ(艶なし)
天井:超低汚染AEP塗装
〈集合棟〉
床:磁器質タイル貼り 複合フローリング
壁:不燃ナラ突板オイルウレタンクリア仕上げ
天井:超低汚染AEP 超低汚染フッ素樹脂塗装

 

水谷光宏/クル
建築・インテリアデザイン・プロダクトデザイン。1954年、三重県生まれ。1976年、大阪芸術大学美術学科卒業。1976〜1984年、大阪芸術大学勤務。1986年、KURU CO.,LTD.設立。JCDデザインアワードなど、数々の賞を受賞。

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