表情豊かな仕上げが繊細な陰影を生むヘアサロン
女性1人の美容室開業計画。場所は鶴見駅前の線路沿いにある雑居ビルの5階。10坪にも満たない店内であるが、東側に大きな開口部があり、線路沿いのため眺望が良く、十分な外光が取り込めるテナントであった。オーナーの人柄やヒアリングの中から、光の透明感に注目し、外光が物質を通した時の光の質の変化や光の見え方が、水のようなしっとりとした透明感につながると考えた。大きな開口部から入ってくる外光をレースカーテンやクリスタルブリックを通して柔らかい光に変化させ、左官壁が影を生み、光のグラデーションに彩られる空間を目指した。天井は、その光が包みこむようなヴォールト形状とした。小さい店内であることからマテリアルには手触り感のある左官材を選定し、壁はザラザラした質感、受付台やカウンターにはテラゾー調のツルツルした質感の左官材を選定。色合いの統一を図りながら、素材感の中に艶感、手触りのコントラストを出し、小さな変化を感じられるようにしている。(堀川 塁/KATAMARI)
「Sheena」
所在地:神奈川県横浜市鶴見区豊岡町22-28 第10髙橋ビル 5A
オープン:2024年10月1日
設計:KATAMARI 堀川 塁
床面積:22.86㎡
施術台数:セット面2台 シャンプー台1台
Photo:宮本啓介
【内外装仕様データ】
床:既存コンクリート下地アクアカラー塗装(AFJ)
壁・天井:PBt12.5下地左官材仕上げ(ジョリパットランダムアート/アイカ工業) 壁面一部/ブリックタイル貼り(クリスタルブリック/モザイクジャパン)
什器:受付カウンター、セット面カウンター/人造石研ぎ出し仕上げ(オリジナルビールストーン/ビール・インターナショナル、左官協力:カワケン)
堀川 塁/KATAMARI
1985年神奈川県生まれ。芝浦工業大学大学院原田真宏研究室卒業。タカラスペースデザイン(株)に入社。美容室、クリニックを中心に様々な空間デザインを手掛ける。2024年よりKATAMARI design studio設立。インテリア、プロダクト、展示会の空間デザインを中心に多方面にて活動。主な受賞歴。AICA施工例コンテスト2014入選、2019特別賞、2022入賞。JCD Design Award 2016 銀賞・小坂竜賞。3M施工事例コンテスト2017入賞。日本空間デザイン賞2019、2021、2022、2023、2024 longlist、2023 short list。