人、地域、文化を包みこむカルチャーデパートメントストア
「PAO」は、静岡県浜松市にあるレトロな雰囲気が残る卸本町に計画された、フードホールとセレクトショップからなる「カルチャーデパートメントストア」である。新たな人、まちを見つめ直す好奇心、文化を育む暮らしのアイデアと出逢う拠点となるように設計された。
施設内では、楽しさ・美しさ・嬉しさを軸に食材や商品が選ばれ、薪窯ピザ、ナチュラルアイス、ナチュラルワイン、日用品が販売される。各店舗は、ホールを囲うように配置され、フードコートのような賑わいを作り出している。すべての店舗がホールへと繋がり、店舗同士の繋がりを生み、新たな出会いへと繋がる。また、イベント時にはフードホールが、広場のような空間へと変化し、様々な催し物が行われる。各店舗のカウンターには、街全体のレトロさと呼応するような普遍的なセラミックタイルを使用した。全体の統一感を確保しつつ、店舗の個性に合わせ、色味や形状を変化させている。特徴的なピザ釜は、一段高くしたPizza Stageに置き、空間全体から見渡せるコーナーに配置した。計1.5万枚のミラータイルを一枚一枚手作業で貼った“ミラーボールピザ釜”は、お店の象徴的な存在となっている。イベント時にはピザ釜にムービングライトが当てられ、本当のミラーボールへと変貌する。
どこか懐かしく感じながらも、現代的な要素が散りばめられたデザインは、人、地域、文化など、様々なものを包む拠点となることを目指している。
(岡⽥ 宰/2id Architects)
「PAO」
所在地:静岡県浜松市南区卸本町56
オープン:2023年8月
内装設計:2id Architects 岡⽥ 宰 石垣直将 高橋沙耶
施⼯:杢理
グラフィック:ido 飯田将平
床面積:309.75㎡
撮影者:adhoc 志摩大輔
【内外装仕様データ】
床:既存+防塵塗装(クリア)
壁:PB下地EP塗装 セラミックタイル貼り
天井:既存利用
家具・什器:カウンター/セラミックタイル貼り テーブル/脚・SGP鋼管の上焼付塗装 天板・リノリウム貼り(マーモリウム/田島ルーフィング) ベンチ/脚・SUS HL+天竜杉105角
岡田 宰/2id Architects
2id Architects 代表取締役。建築家、デザイナー、1級建築士。2007年、法政大学工学部 建築学科卒業。2007〜08年、wonderwall勤務。2008〜09年、Domus Academy修了。2010〜15年、Klein Dytham architecture勤務。2016年、2id Architects設立。