鮨まつざき

和の空間を“剪裁”の視点で再構築した鮨店

 

愛知・名古屋市栄の鮨屋の内装計画です。守破離の考えを根底に据え、純和風の空間を基調としつつ、シュルレアリスティックな手法を取り入れることで、伝統と革新の狭間に立つ新たな空間体験を目指しました。特に、「剪裁」という考え方を空間に適用させています。これは文字通り「剪(きる)」と「裁(つくる)」という二つの行為を組み合わせた言葉ですが、既存の形式や要素を一部切り取り(剪)、その一部を新たな文脈や視点で再構成(裁)して、元の形が持つ秩序や美しさを尊重しつつ、新たな解釈や意味を加えることを意図しました。この「剪裁」にて、日本の伝統的な形式をあえて切り取り、一部を削ぎ落とし、そこに意図的な新しい表現を重ねるアプローチの結果、既存の美の枠から逸れた新たな風景が現われました。
店内は、直線のカウンターを中心に据えた「中の間」と、L字型のカウンターを据えた「奥の間」の2種類の性格の個室を、雁行する路地のような廊下が繋ぐ平面構成となっています。日本的な要素を基調にしながらも、鉱物のような硬質な美を取り入れるなど、和紙や木材とともに、鉱物的な光沢のある素材を用いることで、そのコントラストが非現実性を際立てます。鮨屋という伝統的な形式に新しい価値を吹き込み、単なる食事の場を超え、来訪者が五感で感じる体験へと昇華させることを目指しました。「剪裁」という手法を通じて生み出された非日常的な空間が、来訪者を日常から解き放ち、現実と幻想の交錯する体験を提供することを願います。(MYST

 

 

「鮨まつざき」
所在地:愛知県名古屋市中区錦3-10-16 大河内ビル1階
オープン:2024年12月3日
設計:MYST 武田慎太良+篠元貴之+住野裕樹
アート選定:スペース大原 http://www.spaceohara.com/
床面積:148㎡
客席数:16席
Photo:森田真悠

 

【内外装仕様データ】
床:タイル貼り(LUX-U150/名古屋モザイク工業
壁:PBt12.5下地ワラ入り漆喰仕上げ(オンザウォール
天井:漆喰仕上げ(オンザウォール) アルミルーバー木目シート貼り、ケイカル木目シート貼り
家具・什器:カウンター/桧無垢板

 

MYST
3人のデザイナー、1人の写真家から構成される、商空間デザインのプロフェッショナルチーム。それぞれが培った、建築・インテリア、国内・海外、プロジェクトの大小問わない様々な経験を、余すこと無く活かし、最適解を導く、「伝わる」ことに重きをおいた設計を提案している。写真左から、篠元貴之(ベターシティ 代表取締役)、武田慎太良(武田慎太良デザイン事務所 代表)、森田真悠(ma/U)、住野裕樹(Agio architects studio 代表)

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