Bang & Olufsen Ginza

1925年にデンマークで創業したオーディオ・ビジュアルブランド、バングアンドオルフセンのフラッグシップストアのデザイン。敷地は東京・銀座の並木通りに面する、1960年に竣工した立て壊しが決まっているヴィンテージのビルだ。プロダクト単体を体験するのではなく、リビングのような空間で生活を想像できるような店舗、また東京らしさとデンマークらしさの融合、B&Oのもつエレガントなクラフトマンシップを感じられるような空間が求められた。基本的な雛形となるレイアウト計画はB&Oのブランドデザインチームからの要請があった。空間的に必要な機能は商品が並ぶリビングのような空間と、商談などに使うミーティングルーム、バックヤードだ。
DDAAが提案したのは、“create timelessly distinctive products that challenge conventions and engage imaginations”というB&Oのbrand purposeになぞり、「最新のプロダクトとクラフトマンシップ」「ヴィンテージとコンテンポラリーデザイン」「デンマークと東京のデザインや文化」の共通点とコントラストを感じることができる空間をつくることだった。ブランドデザインチームから要請があったレイアウトはそのままに、ラグのかわりに床を解体し、電気とスピーカーの配線をし、ガラスでふたをする。これにより竣工以来上書きされてきた、ビルの改修工事の歴史が地層のように可視化される。通常、壁や床の内側に隠されてしまうケーブルは、ガラスのショールームに展示されているように丁寧に配線した。ガラスのラグの上にはビルが竣工した年とほぼ同じ年代に生産されたデンマークのデザイナーによるビンテージの家具を配置。ビンテージの家具と現代的なデザインのコントラストを空間に取り込んだ。
デンマークも日本もクラフトマンシップに根ざした木工の文化がある。ヴィンテージの家具とヴィンテージのビルの文脈をさらに象徴的に表現する樹齢60年ほどの盆栽を、空間の中心に配置した。この空間で可視化されているのは、歴史的なものともう一つ、クラフトマンシップに基づく「ディテール」だ。床のガラスのラグの向こう側に見えるスピーカーの配線。盆栽用のシンプルな四角形の什器や、扉の構造を支えるブレース、ガラスを固定するピースの銅によるコーティング。ミーティングスペースのテーブルは、接合部以外が透明なアクリルでできていて、接合部部分のパーツだけが可視化されている。(DDAA

 

「Bang & Olufsen Ginza」
所在地:東京都中央区銀座6-7-18
オープン:2019年12月6日
設計:DDAA
床面積:162.38m²
Photo:見学友宙 長谷川健太

【内外装仕様データ】
床:合板t12下地オーク無垢材フローリング貼り200%艶消しウレタンクリア(ブルゴーニュ/ニッシンイクス) 一部既存床斫り 鋼製束 合わせ強化ガラスt12+t12
壁:PBt12.5下地AEP(N-65/日塗工) 一部既存
天井:PBt12.5、t9.5下地AEP(N-65/日塗工) 一部既存
家具・什器:カウンター/イヤホンテーブル本体・スチールウレタン塗装(N-65/日塗工) ブレース・スチール銅メッキ+クリア仕上げ 天板・オーク突き板
盆栽家具/スチールウレタン塗装(N-65/日塗工) ブレース・スチール銅メッキ+クリア仕上げ 天板・オーク突き板 鉢・蒸発パン ステンレスバイブレーション仕上げ
テーブル/天板、脚、幕板・アクリルt20 金物 スチール銅メッキ+クリア仕上げ
吊り照明/アクリルt20 LED照明(FL-LED2/DNライティング)
サイドテーブル/ステンレスバイブレーション仕上げ
デイベット/Hans J Wegner, GE258(GETAMA)
イージーチェア:Børge Mogensen, model.2256(Fredericia Stolefabrik)
サイドチェア:N.O. Møller, Model 71(J.L. Mollers Mobelfabrik)
その他:エントランス建具/枠・ステンレスバイブレーション仕上げ ブレース材・スチール銅メッキ 把手・スエード調人工皮革(ウルトラスエード/東レ) ガラスパーテーション/ブレース・ガラス押さえ スチール銅メッキ フロートガラスt8 檜クリアラッカー 把手・スエード調人工皮革(ウルトラスエード/東レ) 木格子/檜クリアラッカー

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