兵庫の三ノ宮におもしろい物件があるとの連絡があり、急遽、現場確認することからスタートした。戦前から残る躯体、高架下特有のアーチ、1階67坪、2階90坪のメゾネットの区画を見た時に、この現場の特徴を最大限に活かす設計をしたいと感じた。まず「かって貿易商が使用していたメゾネット倉庫にドイツ人が木樽を持ち込み、クラフトビールを作り出した場所を現代に再生させる」というストーリーを構築。クラフト感のある倉庫を、ビール色“ビアイエロー”をメインカラーに、マリンカラーを差し色にデニム生地の再生カウンター、LGSそのままの仕上げ、戦前から残る躯体をアートとして捉え、ドイツでもアメリカでもない港町神戸に相応しいビアホールをデザインしている。工事中からビアイエローの階段が人目を惹きつけ、先方からの要望であった三ノ宮駅前再開発で名物になるようなビアホールになったのではないかと思う。(増田太史/マスタード)
「コウベビアハウゼ」
所在地:兵庫県神戸市中央区加納町4丁目2−1
オープン:2021年4月25日
設計:マスタード 増田太史
床面積:157坪
客席数:140席
Photo:ナカサ&パートナーズ
【内外装仕様データ】
床:レンガ モルタルクリア塗装
壁:LGSクリア塗装、黒塗装 レンガタイル(ザ・ヴィンテージハウス) ホワイトタイル(ザ・ヴィンテージハウス) 古材(ティンバークルー) 建築躯体素ブロンズミラー
天井:建築折半天井の上塗装仕上げ
家具・什器:特注家具(ザ・ヴィンテージハウス) ファブリック(ニート) 光カウンター(ユアハウス) 再生デニム(SAITEX)
その他:照明(大光電機) カーテン(ニート)
増田太史/マスタード
1981年生まれ。2004年大阪芸術大学卒業。2004年〜株式会社船場、2013年〜株式会社エイジを経て、2016年マスタード株式会社設立。主に、都市部での飲食店を多く手掛ける一方、インドネシアの長期滞在型ホテルや物流倉庫会社の社員食堂を手がけるなど活動の幅を広げている。