「mot.」とは「Mitsui Office for Tomorrow」の略で、「あなたの“もっと”をかなえる場所」としてテナントワーカーに向けて開発された施設・サービスだ。今回のOtemachi Oneでは、プロジェクトのゴールを“WORKからWORK WELLNESSへ”とし、働くを中心に多用途な場が展開し、次のテナントビルの形を描く。そこでコンセプトをPATCHWORKとし、多様なアクティビティをつなぎあわせてワークウェルネスの実現を考えた。
そのデザイン手法は次の三つ。一つは素材のパッチワーク。二つ目はフレームとラインを糸のような役割で用い、場をパッチワークしている。三つめはスペースごとに特徴的な天井と照明で作り、全体を一体としてパッチワークし、ユーザーに届けた。
またこの施設は三つのエリアで構成される。まずmot. Dinningは飲食のほか、コワーキングやイベントとして活用される場のため、読書・ミーティング・パーティーなど様々なアクティビティをフレームによって緩やかに仕切った。そのフレームの中に、アート、グリーン、レコード、光など人の感性要素を組み込まれ、アクティビティと場と感性が多様に混ざる。アートは現代作家とアールブリュットを掛け合わせ多様性と社会課題にアプローチした。
続いてmot. Conferenceは自然がテーマの彩りある空間だ。具体的には各貸室のテーマは、雲、雨、木漏れ日、陽光、青空で、ブレスト等アイデア創出の部屋は雲をイメージするなど、アクティビティとデザインテーマが紐づく。
最後にmot. Fitnessは働くそばのフィットネスとして、アクティブに体を動かし、心身を整えリラックスする対照的な機能を持つ空間だ。ここでも多様な要素や場がフレームにのせて縦横無尽に展開し、パッチワークされる。ジムエリアではフレームがラインに変化し、陸上トラックやバスケットコートなど実寸大のラインとなり、その先のスポーツへとつなぐ。(佐藤 航、浅野里紗/コクヨ)
「mot. Mitsui Office for Tomorrow Otemachi One」
所在地:東京都千代田区大手町1-2-1
オープン:2020年12月1日
設計:コクヨ 佐藤 航 浅野里沙 藤田 敦 浦 麻子
実施設計:コクヨ 永井亮
設備設計:鹿島建設 イーテクノ 岩佐健市
グラフィック:KARAPPO 三尾康明 斉藤真弥子
照明設計:muse-D 今津慎也 土橋政博
アート:A&M(壁画・天井画等) motoka watanabe(彫刻) Azu kimura(植栽) and and plus 浅川浩樹(アール・ブリュット)
ディスプレイ:窪田 俊
音楽:コクヨ 安永哲郎
床面積:2300㎡
席数:約320席
Photo:ナカサ&パートナーズ
【内外装仕様データ】
床:オークフローリング貼り(ハレトケ) アート印刷カーペット貼り(東リ) アート印刷塩ビ床材(CRIOS)
壁:PB下地AEP
天井:三軸天井(サカセアドテック) システム天井の上AEP スケルトン天井
家具・什器:コクヨ HAY COMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLY 他
佐藤 航/コクヨ
1979年、神奈川県茅ヶ崎生まれ。2003年、東京工業大学大学院卒。2003年、コクヨ入社。2018年、同クリエイティブデザイン部部長/チーフデザイナー/一級建築士。オフィス、コワーキング、ショールーム、ショップ、飲食を建築からプロダクトまでスケール横断で企画・ディレクション・デザイン。主な受賞暦/2017年German Design Award賞、BAMBOO AWARD SILVER Prize、2016/2013年Reddot Communication Award賞、2013年SDA最優秀賞、2012年JCD新人賞、その他国内外で受賞多数。
浅野里紗/コクヨ
愛知県名古屋市生まれ。2010年、武蔵野美術大学大学院修了。2010年、コクヨ入社。現在、同クリエイティブデザイン部 所属。オフィス、ショールーム、コワーキングスペース等の空間デザイン・ディレクションを手掛ける。2020年DFA Merit Award・日本空間デザイン賞LongList、2017/16/15年SDA賞入賞・DSA賞入賞、2014年日経ニューオフィス賞推進賞など、国内外にて受賞多数。