アキバ感電デンキ

秋葉原の新たな文化を創出する物販店舗プロジェクト。秋葉原は、家電製品や電子機器、さらにはアニメ、ゲーム関連のフィギュアやコスプレグッズなどの店舗が集まる「オタクの聖地」と呼ばれる。施主は秋葉原で長年過ごし、秋葉原の「オタク文化」がこの街の未来への原動力となるような新しい場所を求めた。
「アキバ感電デンキ」は1990年代のゲームや漫画作品をモチーフにしたオリジナルアイテムやアパレル、一般雑貨を取り扱う物販店舗である。90年代の世界観をより具体的に体現するため、「サイバーパンク」な空間を構成することを考えた。アキバの魅惑的な都市を参照した店舗を作るため、「光」「反射」「即物性」をキーワードに内装を構成した。色鮮やかなネオンライトによる妖艶な光とそれを反射する即物的な金属(波板鋼板、角スタッド)や無機質なタイルを配置することで体現した。また妖艶なネオンのなかに「植物」「コラージュ」「グリッド」の要素を取り込むことで、2010年代初頭のweb上のネットカルチャーに代表される“ヴェイパーウェイヴ”と言われるビジュアルイメージに近づけるようにした。
高度情報化社会の現代においてインターネット上で大量消費され、忘れ去られていた独自のカルチャーを、物販店舗として実装していくことで、ノスタルジーを感じる未来感を演出した新たな文化の拠点になってくれればと思う。コロナの影響でインバウンド向けの店舗が淘汰される中、再度アキバに目を向け、地域に密着した個性を出すことで秋葉原を盛り上げていけたらと考えている。(杤尾直也/to-ripple

 

「アキバ感電デンキ」
所在地:東京都千代田区外神田3-14-9 第26東ビル 地下1階
オープン:2021年2月
設計:to-ripple 杤尾直也 小林直行
グラフィックデザイン:tutoji
アートグリーン:edalab 前田裕也
照明アドバイザー:filaments 吉岡政浩
施工:YOSHIDA INTERIOR
床面積:54㎡
撮影:adhoc 志摩大輔

【内外装仕様データ】
天井:既存
壁:既存躯体現し 波板鋼板(ガルナミGL生地/日鉄鋼板) 磁器質タイル貼り(BK-D2100/名古屋モザイク工業
床:複層ビニル床タイル(ロイヤルストーン PST2072、PST2069/東リ
カウンター:角スタッド


杤尾直也/to-ripple
1983年兵庫県生まれ。東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻(建築・環境デザイン)修了。株式会社都市デザインシステム(現UDS株式会社)にて、ホテル、オフィス、飲食店など多様な設計を手掛る。2017年に株式会社to-rippleを設立。「状況のデザイン」をテーマに建築設計、インテリアデザイン、家具・備品のデザイン、ネーミングなど建築の枠を超えたデザインを手がけ、心地よい体験をプロデュースしている。東北大学大学院工学研究科 非常勤講師。

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