丹下健三氏設計の旧幕張プリンスホテルの47階に計画された、国内では珍しい胎児専門のクリニック。既存区画は、リニアな空間に大きな角柱が3mと短いスパンで並んでおり、施設のプログラムに相応しくない佇まいでした。また、恵まれた眺望や自然光・海との距離感をどのように扱うかも設計の重要な要素でした。いくつかのプランを検討した結果、白い曲面壁によって外部との距離感をコントロールしながら、リジットな列柱を分節し、同時に来院者を包み込むようなやわらかい空間になるように計画しました。加えて、来院者が施設をめぐる順序は決まっていることから、心理的状況に配慮しながら様々な空間体験ができるようにシークエンスをつくっています。1期工事が完了し、近い将来には1フロア全体への拡張が予定されています。(大平貴臣/OSKA&PARTNERS)
「FMFクリニック東京ベイ幕張」
所在地:千葉県千葉市美浜区ひび野2−3 アパホテル&リゾート東京ベイ幕張47階
オープン:2021年9月27日
設計:OSKA&PARTNERS
床面積:400㎡
Photo:長谷川健太
【内外装仕様データ】
床:塩ビタイル貼り(Amtico) カーペット敷き(オーシマプロス)
壁:不燃ボードt6二重貼り下地(FGボード/エーアンドエーマテリアル)塗装仕上げ(ヘイムスペイント/スタジオアナグラム) 突き板リブパネル貼り(サカイ) トイレ/タイル貼り(平田タイル)
天井:PB下地AEP
家具・什器:BoConcept、Herman Miller
大平貴臣/OSKA&PARTNERS
1980年、東京都生まれ。2004年、日本大学大学院理工学研究科 建築学 博士課程前期 修了。デザイナーとして店舗・住宅のデザインに従事。2007年、大平貴臣建築設計事務所設立。2012年、OSKA&PARTNERS 共同設立。2014年〜株式会社OSKA&PARTNERSに改組 代表取締役。2018年〜日本大学理工学部建築学科非常勤講師。