“素材が対話する「余韻の空間」”
「弧柳」は、浪速割烹を継承しつつ、大阪の歓楽街である北新地で12年間新しい食文化を創り上げてこられました。今回の新店舗計画は、歓楽街より少し離れた東横堀川沿いに、地下1階・地上2階の3層の新築で計画しました。入り口は緊張感を漂わせる足元のオブジェを観賞しながら8mのアプローチを辿り、正面にはつくばいを設け、客人が席入りする前に身を清める演出を施しました。1階のカウンター席は、一面に大きな窓を設け、川に広がる空間を一体化させました。中央にアサメラ材とヒノキ材の無垢材でカウンター席を配置し、その2種の無垢材のカウンターはエンターテインメントである主人と料理が象徴的になるように光を構成し、ディテールを含めクオリティーの高さを表現しています。2階は2室の個室を設け窓際には外に繋がる間の庭園空間を取り入れ、所々にアーティストとのコラボレーションによるアーティスチックなディスプレイを据え、木の無垢材、槌目銅、鉄、網 代、竹材など本物の素材が対話する「余韻の空間」を目指しました。
これからの長い時間色褪せない「余韻の空間」で、弧柳第二章の新しい歴史を創り上げていってほしいと思います。(水谷光宏/クル)
「弧柳」
所在地:大阪府大阪市中央区内淡路町3-3-3
オープン:2021年11月20日
設計:クル 水谷光宏
床面積:180.05㎡
客席数:23席
Photo:セイリョウスタジオ 山田誠良
【内外装仕様データ】
〈1階〉
床:600角黒御影石t20貼り
壁:PB下地左官仕上げ(けいそうジュラックス土壁 特注色/四国化成工業)
天井:アール天井/網代貼り ウォールナット材矢羽根網代仕上げ(網代商会)
家具・什器:カウンター/天板・アサメラ材、ケヤキ材オイルフィニッシュ カウンターチェア(宮崎椅子製作所)
〈2階〉
床:アッシュ材フローリング貼りクリアオイル仕上げ(アイオーシー) ナラ材フローリング貼りチョウナクリアオイル仕上げ(ニッシンイクス)
壁:PB下地左官仕上げ(けいそうジュラックス土壁 特注色/四国化成工業)
天井:源平杉クリアオイル仕上げ
家具・什器:アームチェア(リッツウェル) 座椅子(ワイスワイス)
水谷光宏/クル
建築・インテリアデザイン・プロダクトデザイン。1954年、三重県生まれ。1976年、大阪芸術大学美術学科卒業。1976年、大阪芸術大学勤務。1986年、KURU CO.,LTD.設立。JCDデザインアワードなど、数々の賞を受賞。