日本的な価値観を現代の技で表現したバー
異なる時代や環境の中でも、揺るぐことのない価値がある。日本を代表的する繁華街であり、流行の移り代わりが激しい六本木という土地にあるバーラウンジ「毚 zan」。日本の伝統文化が持つ価値に向き合い、職人の技巧や発想を通じて、現代的な和を表した設計となった。店内では、左官仕上げの壁面と金箔による刻印が、訪れる人を迎え入れる。古美色が施された鉄の門を抜けると、職人の手から生まれた一枚板のカウンターと、西陣織の大壁が、凛とした緊張感のある空間を作り出す。古くから日本に根付く「木・鉄・土・布」4種の素材を基調とし、紡がれた技術と現代の感覚によって再構成することで、揺るぐことのない価値が先へと継がれることを願う。(長澤一樹/NAO Taniyama & Associates)
「毚 zan」
所在地:東京都港区六本木3-14-14 3階
オープン:2022年11月30日
設計:NAO Taniyama & Associates 谷山直義 長澤一樹
協力:家具/TOMINAGA 富永 純 カウンター造作/桜製作所 アートワーク、壁面造作/METAL WORKS、studio bead 猿渡健治 壁面造作/細尾 サイン金箔施工/堀金箔粉 荘 雅幸 照明計画/ヌーサデザイン 若井 修
施工:プロセス 高橋良彰
床面積:151.5㎡
客席数:42席
【内外装仕様データ】
床:塩ビ長尺シート+UVコーティング タイルカーペット貼り
壁:左官黒漆喰仕上げ クロス貼り
天井:クロス貼り
谷山直義/NAO Taniyama & Associates
1973年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、スーパーポテトで杉本貴志に師事。2011年、NAO Taniyama & Associatesを設立。グランドハイアット東京、レストランドミニクブシェなどのホテルやレストランなど幅広い空間デザインをデザイン。近年では2023年開業予定の日本初上陸のホテルVOCOなどを手掛けている。