1つの空間の中に2つのブランドの“二面性”を表現
「LORO」と「1117」という、2つのブランドを手掛けるジュエリーデザイナーのためのストアの計画。中心の異なる2つの円弧が特徴的なファサード活かして、1つの空間の中に「二面性」のあるストアを考えた。2つのスペースの境界を作るのは、それぞれの曲線から導かれた1本のラインである。そして、そのライン上に収納やディスプレイなどの機能を兼ねた1枚の壁を設け、限られた面積を有効活用しながら全体を緩やかに2つの空間に分けることを考えた。
「LORO」のためのスペースには、石やガラスを中心に凛とした空気をつくりつつ、左官壁によって適度な柔らかさを加えている。一方「1117」のスペースには、サイザルやオーク材などの自然素材に、透け感のあるカーテンを重ね、落ち着きや安心感を感じられる空間を意識した。一人の作り手の中に異なる感性が同居するように、それぞれのブランドに適した性質の受け皿を整えつつ、一つの繋がりを感じられるような空間を目指した。(二俣公一/ケース・リアル)
「LORO/1117 青山直営店」
所在地:東京都港区南青山3-5-6 ディアテックビル1階
オープン:2023年11月8日
設計:ケース・リアル 二俣公一 有川 靖
照明計画:モデュレックス
施工:ブレイン
床面積:68.7㎡
Photo:adhoc 志摩大輔
【内外装仕様データ】
床:既存モルタル床+浸透性塗料 既存モルタル床+サイザルカーペット貼り(上田敷物)
壁・天井:PBt9.5+12.5下地左官仕上げ(フジワラ化学)
その他:収納/木工下地+オーク板目突き板貼りの上染色塗装オイル仕上げ ディスプレイ台/木工下地+御影石ジェットポリッシュ仕上げ(関ヶ原石材) クリアガラスt10フォトボンド組み
二俣公一/ケース・リアル
空間・プロダクトデザイナー。1975年鹿児島生まれ。福岡と東京を拠点に空間設計を軸とするケース・リアル(CASE-REAL)とプロダクトデザインに特化する二俣スタジオ(KOICHI FUTATSUMATA STUDIO)の両主宰。国内外でインテリア・建築から家具・プロダクトに至るまで多岐に渡るデザインを手がける。近作にDDD HOTEL、イソップ新宿店、Chalet W、キウルベンチ(Artek)など。作品の一部はサンフランシスコ近代美術館の永久所蔵品に選出されているほか、その他受賞多数。2021年より神戸芸術工科大学客員教授。