経年変化を感じる古材で侘び寂びを表現
株式会社七葉は、「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。そして、その店内に求められる空間は、「和風」ではなく「現代の茶室」である。それは、オーナーの言葉を借りれば「日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店」をつくりたいという思いの表れである。
「侘び」とは見た目についての言葉であり、この世のものは全て経年変化によって錆びたり欠けたりするが、それこそが「美」だという意味を持っている。また、「寂び」とは、その経年変化を楽しもうというポジティブな心についての意味である。そこで、「nana’s green tea ニューヨーク」では、風化する自然素材のみで空間を構成し、日本の侘び寂びの精神を感じてもらうことを目指した。実際には、ベンチを古木(日本の木造建築を解体して再利用する丸太)と束石(古民家で古木を支えてきた基礎)を再利用し、時代を超えたデザインを施すことで、100年経ってもそこに存在するような店舗デザインを試みている。(吉田昌弘/KAMITOPEN)
「nana’s green tea ニューヨーク店」
所在地:NOMADTOWER 1250 BroadwayNew York, NY 10001
オープン:2024年3月19日
設計:KAMITOPEN 吉田昌弘 キム・ヒョンウク
床面積:157.93㎡
客席数:64席
Photo:宮本啓介(編集)
【内外装仕様データ】
床・壁:セメントモルタル仕上げの上クリア塗装
天井:グレー塗装
家具:テーブル、ベンチ(山翠社)
吉田昌弘/KAMITOPEN
一級建築士。1977年大阪生まれ。2001年京都工芸繊維大学工芸学部(岸和郎ゼミ)卒業。2001年タカラスペースデザイン株式会社入社。2007年KAMITOPEN設立。2008年株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所設立。