北京文化を象徴する吉祥柄と5つの色を現代的に表現
デザインコンセプトを「One 北京気質 More 吉祥喜図」とし、北京らしさの最・再・彩を追求したプロジェクト。本件は、北京らしい色調と現代風に再アレンジした吉祥柄を掛け合わせ、新たな彩(スパーク)が施設全体に表現することで、ターゲット層である感度の高い若者層の感性に響くような空間を目指した。同施設は、中国商業の発祥地で、北京の一等地である「王府井商圏」に位置し、東⻄軸幹線道路の⻑安街から直ぐ視認できる、様々なエネルギーが自然と集約されるような立地である。そうした立地ポテンシャルを活かすべく、北京都市形成における重要なファクターの一つであり、かつ古くから中国で最もポピュラーな哲学思想である「五方五行」の青・赤・黄・白・黒の5つの色調をキーカラーとし、北京の広く豊かな文化の中に長く根付く「吉祥柄」を再デザインして、各フロアのMDに合わせて最適な形状で展開。例えば、最も多くの人が訪れ心を掴む象徴的なメインの吹き抜け空間では、白と黒のモノトーンカラーをベースに、「流れる水は濁らず常に清らかであること」「苦難や災厄を流し去ること」から吉祥柄の代表として挙げられる、ゆるやかな曲線で穏やかな印象を与えてくれる流水文様を組み合わせ、吹き抜け形状のポテンシャルに合うよう緻密なデザインを施している。(瀬野文雄/丹青社)
「北京王府井喜悦购物中心」
所在地:中国北京市東城区王府井⼤街301
オープン:2023年12月
設計(1~7階):丹青社 瀬野文雄 胡敏 坪井貴裕 高村梨那 芳越せり奈 劉宇昕 郑汐帆
面積:建築⾯積/78000㎡ 商業⾯積/約50000㎡
Photo:ナカサ&パートナーズ 河野政人
【内外装仕様データ】
床:高強度コンクリートセルフレベリング下地塩ビ―シート貼り(特注プリント模様)+防滑、防汚、耐久性仕上げ(突き付け貼り)
壁:吹き抜け層間壁/LGS組み不燃基材ボード下地特注曲げルーバー フッ素樹脂焼付塗装(色特注)仕上げ
天井:LGS組み不燃基材ボード下地膜天井(A等級:不燃、透光率40-70%)+SUSミラー目地
その他:渡り廊下:LGS組み不燃基材ボード下地ハニカム芯材+SUSミラーパネル仕上げ
瀬野文雄/丹青社
株式会社丹青社 商空間デザイン局2部 部長。 専門店や複合商業施設等の商業空間、医療サービス施設等のホスピタリティ空間、金融・オフィスやショールーム等のビジネス空間など、さまざまな規模・分野の空間づくりを手掛けている。近年、丹青創藝設計諮詢(上海)有限公司の董事(設計総監)として中国において多角的な視点でプロジェクトに携わり、関係者とのコミュニケーションを重ねながら、空間価値を最大化するデザインを行い、高い評価を得ている。日本空間デザイン賞、JCD、ADAM/GDA(ドイツ)、BLT Built Design Awards(スイス)、NY Architectural Design Award(アメリカ)等、London Architectural Design Award(英国)等、国内外デザイン賞の入選多数。