“現代の井戸端”がテーマのコワーキングスペース隣接コーヒースタンド
岩手県紫波郡紫波町の日詰商店街にあるコワーキングスペース「YOKOSAWA CAMPUS」の一部を、コーヒースタンドに改修する計画。この建物は、移住してきた施主が数年前から仲間と共にセルフリノベーションをし続けてきたことで、近年はコワーキングスペースとして地域住民に活用され始めていた。しかし、元々が住宅だったため、その賑わいは外からは分かりづらい状態だった。店主がコーヒーを提供するという新しい来訪の理由を作り、より多くの人に開かれた溜まり場を作ろうとしていることや、日詰にかつて沢山の井戸があった歴史をヒントに、「現代の井戸端」をコンセプトに計画を行った。
既存の窓と間取りを生かし、外壁から内壁へと連続する杉板の仕上げは、間口以上にまちや来客に対して開かれた印象を生むことを企図。また、階段状に高さが変化するカウンターテーブルは、住宅の玄関だった土間や、厨房の床、前面の道路など、元々路面店ではないからこそ有している周囲の様々な段差と呼応しながら多様な世代の人々との間に縁をつくりだしている。街角に現れた現代の「井戸」が地域住民の生活における共有地として、末永く立ち寄ってもらえることを願っている。(NoMaDoS)
「Y.C.COFFEE STAND」
所在地:岩手県紫波町日詰字東裏135-1
オープン:2022年6月1日
設計(意匠設計):NoMaDoS 千葉 光 乙坂譜美 (吉川尚哉)
協力:左官/EIKOU ※一部建具の塗装は施主によるもの
施工:A.hand.s 府金俊彦
床面積:改修対象部/18.21㎡(うち厨房8.28㎡)
Photo:イトウタカムネ写真事務所
【内外装仕様データ】
外壁:既存外壁補修後胴縁の上杉板t15木材保護塗料塗装(キシラデコール/大阪ガスケミカル) 既存外壁補修の上左官塗材仕上げ(モールテックス/ビール・インターナショナル)
床:既存クリーニング
壁、天井:PBt9.5下地EP 一部既存のまま
什器:カウンター/集成材t30ウレタンクリア塗装
千葉 光/NoMaDoS
東北大学大学院都市・建築学専攻修士課程修了後、(株)久米設計を経て、一級建築士事務所NoMaDoSを共同設立、取締役に就任。国内・海外の宿泊施設や商業施設、教育施設など多岐に渡るプロジェクトの担当経験を活かし、意匠設計に従事する。